国産も人気上昇中!シードルの基本や歴史、飲み方を紹介!
近年、日本でも人気が高まっている醸造酒が、「シードル」です。
シードルとはりんごを原料とした醸造酒であり、“りんごのワイン”として認識している方もいるかもしれません。
しかし、シードルはフランスを筆頭にワイン同様古い歴史を持つ醸造酒カテゴリであり、その種類も豊富です。
本記事では、シードルの基本を解説していきます。シードルについて知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
シードルの基本情報
シードルとはどんなお酒なのか下記の内容にまとめました。
- シードルとは?
- シードルの造り方
- シードルの簡単な歴史
それぞれ解説します。
シードルとは?
シードルとは、主にりんごを原料とした醸造酒のことです。
ただし、広義にはりんごではなく、「リンゴ連」と呼ばれる果実を原料としたものを発酵させたアルコール飲料として定義付けられています。
日本ではりんごが原料となっていますが、世界では梨やラズベリーのシードルも製造されています。
シードルの多くは発泡性で、スパークリングワインのような口当たりを楽しむことができる仕上がりです。
アルコール度数は生産国によって違いがありますが、日本では主に9%以下のものがほとんどになります。
イングランドのシードルは最低1.2%だったりと、ブドウを原料としたワインと比較すると低アルコールであるため飲みやすいお酒です。
シードルの造り方
シードルの一般的な造られ方を下記にまとめました。
- 熟したリンゴを収穫・屋外で熟成
- 水洗い
- 破砕したものを圧搾機に投入
- 搾汁
- ジュースをタンク内でアルコール発酵
- 果肉を除いた果汁のみを別タンクへ投入
- 発酵・熟成の後、瓶詰め
伝統的なシードルは樽内で自然発酵によって造られますが、雑菌汚染などのリスクから現在では乾燥酵母などを使用したタンク内発酵が主流です。
また、タンク内は空気中の酸素が入ってこないため、発酵・熟成中に発生した炭酸ガスが果汁に融解し、発泡性に仕上ります。
ひとつの種類のりんごからシードルが造られることもありますが、さまざまな種類のリンゴから造られたシードルをブレンドしたり濁りを残したままで瓶詰めされるものなど、シードルのスタイルによって細かな製造方法は変わります。
シードルの製造方法の違い
発泡性のあるシードルにはいくつか製造方法が存在します。主にスパークリングワインを製造する方法でガス感を出しています。
- カーボネーション方式
世界的にも一般的な製造方法の一つで、発酵させ澱引きしたお酒にカーボネションタンクで炭酸ガスを充填させた製法。色合いはクリアで、味わいのバリエーションも豊富です。
- トラディショナル方式
別名シャンパン方式とも言われ、伝統的なスパークリングワインの製法の一つで、瓶内二次発酵させたシードルです。ルミアージュ(動瓶)という作業など、ゆっくりと丁寧に時間と手間をかけて製造する方法で、澱引きし色合いもクリアで、きめの細かな泡感も特徴です。また、ドサージュという作業で甘さの調整なども出来き、味わいにもバリエーションがありります。
- シャルマ方式
大きな密閉タンクで二次発酵させることで、自然発生した泡を閉じ込めた製法。いっぺんに製造することから、味わいや泡感は一定な物が出来やすい。色合いもクリアで、特に香りの良いお酒が出来るのも特徴です。
- リュラル方式
別名、アンセストラル方式や田舎方式と言われる製法です。瓶内二時発酵させる製造方法のひとつです。この製法で作るシードルのほとんどは、澱引きをしない事から、澱が残り混ざると濁りが出るのも特徴です
製法は他にもいくつかありますが、製法の違いで味わいや泡感にもちがいがあります。
シードルの簡単な歴史
シードルの原料であるりんごは、5000〜6500万年前から存在している古い果物だといわれています。
お酒造りの歴史はメソポタミア文明の紀元前4000年前頃に遡るといわれているものの、シードルの原型が造られたはじめたのは圧搾機が開発された紀元前1世紀頃と考えられているようです。
ちなみに、9世紀頃には、カール大帝がシードル製法に関連する記述を残していたともいわれています。
11世紀頃、フランスのノルマンディ地方・ブルターニュ地方にてリンゴ栽培が盛んとなったことからシードルが多く造られるようになり、11世紀中盤にはイギリス西部でシードル造りが盛んに。
その後、19世紀初期頃にアメリカ・ペンシルバニア州にシードル文化が広がり、世界各国で造られるようになりました。
日本では、第二次世界大戦後に青森県弘前市の吉井酒造が最初といわれていますが、1954年に当時の朝日麦酒株式会社がシードル造りに着手。
1956年に発売された、『アサヒ シードル』が日本で最初の商業用シードルだと考えられているようです。
シードルの種類
シードルには、数多くのスタイルがあります。
世界的には、ニューワールドスタイルやイングリッシュスタイル、フレンチスタイルなどが定義されていますが、シードル自体の種類となると下記が基本です。
発泡タイプシードル
一般的な発泡性のシードルで、爽やかな炭酸とシャープな味わいが特徴。辛口タイプのドライ、甘口タイプのスイートなど、同じ発泡タイプでも味わいに違いがあります。
スティルタイプシードル
スティルとは、「静か」を意味しており、非発泡性のシードルです。味わいは力強く、ワインに近いイメージのシードルといえるでしょう。
アイスシードル
ワインにも、凍結したブドウを収穫して造るアイスワインといったものがありますが、アイスシードルも凍ったリンゴを収穫して造られるものです。
リンゴの糖度が高まるため、できるシードルはまろやかで甘口になります。
フレイバードシードル
果実やスパイスなどを一緒に浸け込んで造られる、香りづけシードルがフレイバードシードルです。爽やかなリンゴの香りとは違う、さまざまな香りを楽しめるところが特徴です。
ホットシードル
モルドサイダーのように、シードルを沸騰直前まで温めた後、シナモンやオレンジピール、各種香辛料を入れたシードルが、ホットシードルです。和製英語ですが、ホットワインのような甘くスパイシーな味わいが特徴になります。
シードルの飲み方
シードルの飲み方を下記にまとめました。
- 冷やして飲む
- 温めて飲む
- 食事に合わせる
それぞれ解説します。
冷やして飲む
一般的な発泡タイプのシードルは、炭酸の口当たりや爽やかな味わいを楽しむため、冷蔵庫で冷やして飲むのがおすすめです。
ドライタイプはスパークリングワイン同様に5〜7℃、甘口タイプは3℃前後がおすすめでしょう。
また、少し香りが個性的だったりアルコール度数が高いもは10℃前後で飲むと旨みをしっかりと感じられます。
ちなみに、海外では氷を入れてシードルを楽しむ文化もあるなど、その飲み方は自由です。
“こうしなければいけない”と考え過ぎず、自分が美味しいと思う飲み方を見つけてみるのもおすすめではないでしょうか。
温めて飲む
上記でもお伝えしたように、シードルを温めて飲むホットシードルスタイルもおすすめです。
シードルを沸騰しない程度に温めた後、シナモンやクローブ、またレモン、りんごなどを加えます。
より簡単な方法としては、果実やスパイスを入れて電子レンジで1分前後、「50℃くらい」に温めても良いでしょう。
食事に合わせる
日本では、まだまだワインのようにシードル文化が広がっておらず、食事とのペアリングに悩まれる方も多いのではないでしょうか。
シードルは、酸味と甘さのバランスが良く、さらにアルコール度数も低いことから、幅広い料理に合わせることができます。
オリーブオイルをたっぷりと使った洋食はもちろん、脂っぽい中華や香りが独特なエスニックなど、ジャンルを選ぶことなく合わせられるのでお酒選びで悩む時間が減るはずです。
中でも、豚肉との相性が良いため、果実のソースをなどを使った豚肉料理全般と合わせてみるのも面白いのではないでしょうか。
ただし、スイートタイプはスイーツ、よりシャープなドライタイプは魚料理や和食などと合わせるとより美味しく楽しむことができるでしょう。
おすすめのシードル
ここからは、喜久水が揃える魅力的なシードルを紹介します。
シードルには興味があるものの、どれを選べばよいか分からないといった方は、ぜひこちらから選んでみてください。
Kikusui Cidre スタンダード
南信州(主に飯田市・下伊那郡松川町)産のりんごを100%使用したシードルが、「Kikusui Cidre スタンダード」です。
ふじ、シナノゴールド、紅玉、秋映、シナノスイートを原料に、バランス良く仕上げられています。
シャープですっきりとした味わいと、リンゴ本来の甘さを楽しむことができるため、シードル初心者におすすめの1本です。
Kikusui Cidre Method Charmat (キクスイ シードル メソッド シャルマ)
南信州(主に飯田市・下伊那郡松川町)で収穫されたりんごを100%使用した、シャルマ方式(タンク内二次発酵)で造られたシードルです。
ふじ、シナノゴールド、紅玉、秋映、シナノスイートを主体に複数種類を使用。
シャルマ方式で造られるシードルは、非常にきめ細やかな泡が楽しめるため、口当たりも柔らかく大変エレガントです。
香り高いりんごのアロマ、シャープで洗練されたドライタイプの味わいをお楽しみください。
CIDRE N35 Terroir 2019 Brut Nature (シードル N35 テロワール 2019 ブリュット ナチュール)
喜久水がお届けする特別なシードル、「CIDRE N35 Terroir 2019 Brut Nature (シードル N35 テロワール 2019 ブリュット ナチュール)」。
南信州(主に飯田市・下伊那郡松川町)産の、厳選したリンゴを使用。
シャンパン方式と呼ばれるトラディショナル方式で造られた、手間暇かけられた贅沢なシードルです。
ピュピトルといわれる専用の澱下げ台を使用し、澱を抜いてるため非常にクリアな色合いも特徴的。
リンゴのフルーティーなアロマはもちろん、いつまでも消えない繊細な泡、そして複雑性のある奥深い味わいなど、トラディショナル方式ならではの味わいをお楽しみください。
CIDRE N35 Terroir 2019 Brut Nature (シードル N35 テロワール 2019 ブリュット ナチュール)
まとめ
シードルというと、フランスやイギリス、スペイン、北米などが有名です。
しかし、非常に質の高いリンゴが栽培されている日本の国産シードルも見逃すことはできません。
上質なシードルが多いため、ぜひどんなシードルを選べばよいかわからない方は国産シードルを選択してみましょう。
リンゴを原料とした爽やかな味わいと飲みやすいアルコール度数、幅広い料理とのペアリングが楽しめるところが、シードルの魅力です。
ぜひ、本記事をきっかけに、一度シードルの魅力に触れてみてはいかがでしょうか。